
弁明
解説で学ぶ

プラトン(紀元前428頃 – 紀元前348頃)
紀元前399年頃
プラトンの「弁明」は、ソクラテスが自身の哲学と信念を貫き通した魂の言葉です。不正な告発にも屈せず、真理を追求する生き方を堂々と語る姿は、現代を生きる私たちにも深い感動と示唆を与えます。
想像してみてください。法廷に立った被告が、自分は罪人どころか、この国への「神からの贈り物」なのだと主張する光景を。[130] それどころか、自分は一匹の「アブ」のような存在だ、と奇妙な比喩で語り始めます。アテナイという国家は、大きくて高貴だけれど動きが鈍い馬のようなもの。自分はその馬をチクリと刺して目を覚まさせるために、神から遣わされたのだ、と。[131] この驚くべき弁論を行ったのが、古代ギリシャの哲学者ソクラテスです。彼にとって、人々に問いを投げかけ真理を探究することは、犯罪どころか、神から課せられた神聖な使命でした。[146] 神託や幻を通して、何があろうと哲学を実践し教え続けるよう命じられていたのです。[124] しかし、魂をより善くするためのこの献身的な活動に対して、彼が直面したのは死刑という最も重い罰でした。なぜでしょうか。彼に対する正式な告発状にはこうあります。「ソクラテスは若者を堕落させる悪人である。国家が認める神々を信じず、新しい怪しげな神を持ち込んでいる」[3][98] ここに、壮大なパラドックスが生まれます。自らを、善を促すために不可欠な存在だと信じる男が、まさにその神聖な義務だと信じる行為そのものによって、断罪されようとしているのです。