
コモン・センス
解説で学ぶ

トマス・ペイン(1737 – 1809)
1776年
トマス・ペインの『コモン・センス』は、1776年のアメリカ独立を力強く鼓舞しました。平易で説得力のある文章が、英国からの独立を求める人々の心に火をつけ、新たな政府への道を開きました。その革新的な思想は、今も世界中で自由を求める動きに影響を与え続けています。
私たちが当たり前に受け入れている「政府」。秩序や安全を守ってくれる存在ですよね。でも、もしその政府が、実は私たち人間の道徳的な弱さの証だとしたら、どう思いますか?アメリカ独立革命に火をつけたトマス・ペインの『コモン・センス』は、こんな衝撃的な問いから始まります。
ペインは、「社会」と「政府」をはっきりと区別します。社会は、私たちの助け合いたいという願いから生まれる、素晴らしいものです。一方、政府は、私たちの邪悪さから生まれるものだ、と言うのです。社会が人々の愛情を結びつけて幸福を積極的に作るのに対し、政府は私たちの悪事を抑えつけるという消極的な役割しかありません[11]。
だからこそ、ペインはこう断言します。社会はどんな状態でも恵みだが、政府は、たとえ最良の状態であっても「必要悪」にすぎず、最悪の状態なら耐え難いものになる[12]、と。彼はさらに、政府を「失われた無垢の証」と呼びます[13]。王の宮殿は、かつて私たちが持っていた素朴で徳高い暮らし、いわば「楽園の廃墟」の上に建てられているのだ[13]、とまで言うのです。
つまり、強力な権力に頼らなければならないこと自体が、人間が堕落した証拠だというわけです。これは、私たちが頼る権力の存在が、本当に進歩の証なのか、それとも単なる嘆かわしい必要悪なのか、という根源的な問いを私たちに突きつけてきます。