
ピーター・パン
朗読で味わう

ジェームス・M・バリ(1860 – 1937)
1911年
永遠の子どもピーター・パンが、ウェンディたちをネバーランドへ誘う冒険物語。子どもの頃の夢と冒険、そして成長の喜びと切なさを描いた、世界中で愛される不朽の名作です。
夜、子どもたちが眠りにつくと、ダーリング夫人はそっと彼らの心の中を旅し、その地図を整えるのが日課でした[5]。そこには不思議な道がジグザグに走り[6]、どの地図にも決まって、ひときわ大胆に、どこか生意気なほどくっきりと刻まれた名前がありました。『ピーター・パン』。決して大人にはならないのだと、娘のウェンディは言います[1]。
ある晩のこと。暖炉のそばで夫人がうたた寝をしていると、窓がさっと開かれ、ひとりの少年が舞い降りました。骸骨のように葉脈だけが透ける服をまとい、傍らには拳ほどの光がめまぐるしく飛び回っています。それは小さな、小さな妖精でした[15]。少年は、大人である夫人に気づくと、真珠のような小さな歯をむき出しにして、野生の獣のように牙を剥いたのです[8]。
夫人の悲鳴に、乳母役の忠実な犬、ナナが部屋へ飛び込んできました[4]。少年は慌てて窓から飛び出そうとしますが、その瞬間、ナナが吠えながら窓をぴしゃりと閉めてしまいます[9]。あまりに素早く、そして決定的に。窓が断ち切ったのは、逃げ遅れた少年の影でした。ロマンチックな心を持ったダーリング夫人[3]は、床に残されたその影を丁寧に折りたたむと、そっと引き出しの中へしまい込みました。少年が、己の影を取り戻しに、必ずやこの部屋へ帰ってくることを予感しながら[9]。