
三銃士
朗読で味わう

アレクサンドル・デュマ / オーギュスト・マケ(1802 – 1870)
1844年
「三銃士」。若きダルタニャンと伝説の三銃士が織りなす友情と冒険の物語。17世紀フランスを舞台に、陰謀に立ち向かう彼らの「一人は皆のために」の精神は、今も多くの人々を魅了します。
1625年4月、ひとりの若者がパリを目指します。名はダルタニャン、18歳。胸には野心、心には故郷ガスコーニュの熱い血がたぎっていました。年老いた父が授けてくれたのは、わずかな金貨と、みすぼらしい黄色の馬、そして国王銃士隊長トレヴィル卿に宛てた一通の手紙。「今の世、紳士が道を切り拓くのは、ただその勇気によってのみだ」[4]。父の言葉を胸に、彼は冒険を求めて故郷を後にします。
彼は、まさに「18歳のドン・キホーテ」[2]。拳は常に固く握られ、手は剣の柄にかかっていました[5]。やがてたどり着いたムーンの町。宿屋の窓辺に立つ、顔に傷のある謎めいた紳士が、彼の馬を見て侮蔑の笑みを浮かべます。ダルタニャンは直感しました。この男は、自分の未来に大きな影響を及ぼすに違いない、と[7]。紳士が話しかけていたのは、青白い肌の「若く美しい」[8]女性。「ミレディ」と呼ばれていました。
若者の誇りは、いともたやすく火を噴きます。「おい、そこのあなた。何がおかしいのか、一緒に笑おうではないか!」[6]。しかし、紳士は剣を抜きません。ダルタニャンは男たちに不意打ちされ、意識を失います。道端に打ちのめされながら、彼は叫びました。「卑怯者!」[9]と。
気がついたとき、懐にあったはずの最も大切な宝物、トレヴィル卿への紹介状は消えていました。謎の紳士とミレディの姿もありません。胸に残ったのは、深い屈辱と、燃え盛る復讐の炎だけでした。