
若きウェルテルの悩み
解説で学ぶ

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749 – 1832)
1774年
若きウェルテルの燃えるような恋と絶望。ゲーテを一躍有名にしたこの書は、多くの心を捉え、ロマン主義文学の金字塔として読み継がれる不朽の名作です。
自分の心が苦しすぎて、いっそ狂ってしまえたら、と願ったことはありますか。これは、若きウェルテルが陥った、恐ろしい心のパラドックスです。ある冬の日、ウェルテルは散歩中に、岩場で一心に何かを探す男に出会います。花を探しているというのです。季節外れですよ、とウェルテルが言うと、男は深いため息とともにこう答えました。「いや、花はたくさんあるはずなのに!」[401]。そして声を潜め、愛する人に花束を約束したのだと打ち明けます。彼女はとても裕福で、「宝石や王冠だってお持ちなんです!」と、彼は信じきっていました。[402]
この出会いは、同情ではなく、奇妙な羨望をウェルテルに抱かせます。本当の衝撃は、その後でした。男の母親が現れ、憐れむように微笑みながらこう説明したのです。「あの子が言っているのは、完全に理性を失っていた時のこと…なにもかも意識の外にあった、精神病院にいた頃のことなのです」。[403] ウェルテルは雷に打たれたような衝撃を受けます。
この出来事をきっかけに、彼は根源的な問いに苛まれます。「神よ!これが人間の運命なのでしょうか?人は、理性を得る前か、失った後でしか幸福になれないのですか?」と。[404] そして、自分自身と男を比べます。「君は冬だというのに、姫君のために喜び勇んで花を探し、見つからないと嘆く。だが私は、喜びも希望も目的もなくさまよい、来た時と同じように帰るだけだ」。[405] 意識があることの苦しみが耐えがたいものになった時、目的と喜びに満ちた狂気の世界は、いっそ祝福のように見えてしまう。これが、ウェルテルがたどり着いた、痛ましい境地でした。