
ハムレット
朗読で味わう

ウィリアム・シェイクスピア(1564 – 1616)
1601年頃
『ハムレット』は、復讐と苦悩が織りなす人間ドラマの金字塔。生と死、裏切りといった普遍的なテーマを深く問いかけ、現代にも通じる心の葛藤を描き出します。その深遠な物語は、今なお世界中の人々を魅了し続けています。
凍てつく風が吹き荒れる、エルシノア城の胸壁。肌を刺すような夜気の中、王子ハムレットは立ち尽くします。目の前にいるのは、亡き父と瓜二つの姿をした、人ならざるもの。それはまさしく、父王ハムレットの亡霊でした。煉獄の炎に焼かれながら、この世を彷徨う魂は、自らの死の真相を語り始めます。それは『不浄にして、最も非道な殺人』[22]であったと。世間で噂されているような、蛇に噛まれた死ではない。庭園でまどろむ王の耳に、実の弟クローディアスがそっと忍び寄り、呪われた毒を注ぎ込んだのだ、と。[24] 王冠と王妃を、一度に奪い去ったのです。亡霊はハムレットに懇願します。『この不浄で非道な殺人の復讐をせよ』[22]。『デンマーク王の寝床を、不義と呪われた近親相姦の温床にしてはならぬ』[24]と。しかし、母ガートルードだけは、その胸を苛む棘と、天の裁きに委ねるように、と付け加えるのです。[24] やがて夜が明け、亡霊の姿は薄れ始めます。凍てつく空気に、最後の言葉がこだましました。『さらば、さらば、さらばだ。私を覚えておけ』[25]。一人残されたハムレットは、世界が崩れ落ちるような衝撃に打ちのめされます。友人が抱いた『これは国に何か不吉なことが起こる前触れだ』[3]という予感は、今や恐ろしい確信へと変わりました。『デンマークはどこか腐っている』[20]のです。