
分別と多感
朗読で味わう

ジェイン・オースティン(1775 – 1817)
1811年
理性と感情の対比を通して、二人の姉妹が愛と社会の厳しい現実に立ち向かう姿を描きます。人間関係の機微と心の葛藤を鮮やかに描き出し、時代を超えて共感を呼ぶ名作です。
サセックス州のノーランド・パーク。ダッシュウッド一家が、長く穏やかに暮らしてきた場所です[1]。しかし、家長であるヘンリー・ダッシュウッド氏が突然この世を去り、その日々は終わりを告げます。屋敷と財産のほとんどは、先妻との息子であるジョン・ダッシュウッドが相続し、残された後妻と三人の娘たちには、わずかな資産しかありませんでした[2]。
父は死の床で、息子ジョンに固く約束させます。「どうか、お前の義理の母と妹たちの面倒を見てやってくれ」。その言葉に心を動かされたジョンは、妹たちにそれぞれ千ポンドずつ、合計三千ポンドを援助しようと心に決めました[3][7]。
しかし、彼の妻ファニーは、夫よりもずっと狭量で、利己的な女性でした[3]。彼女は、夫の寛大な申し出を聞くと、冷ややかに、しかし巧みに言葉を重ねていきます。
「もしあの子たちが結婚すれば、何の心配もないでしょう? しなければ、みんなで慎ましく暮らせば十分ですわ[6]」 「それに、もし援助するとしても、半分の五百ポンドで十分すぎます[7]」 「いいえ、よく考えてみたら、そもそも援助なんて必要ないんじゃないかしら?[7]」
ジョンがお義母さまに年金を、と提案すれば、こう囁くのです。 「まあ。年金をもらう方って、どういうわけか、いつまでも長生きなさるものですわ[8]」
この抗いがたい言葉の前に、父との固い約束は脆くも崩れ去り、せいぜい「ご近所づきあい程度の親切」へと姿を変えてしまいました[9]。やがてノーランド・パークに乗り込んできたファニーとジョンは、かつての家の主人であったダッシュウッド夫人と娘たちを、まるで招かれざる客人のように扱い始めるのでした。