
ガリヴァー旅行記
朗読で味わう

ジョナサン・スウィフト(1667 – 1745)
1726年
ガリヴァー旅行記は、風刺に満ちた傑作です。小人や巨人の国など、奇妙な世界を巡るガリヴァーの旅を通して、人間の本質や社会の矛盾を鋭く描き出します。今なお読み継がれる、示唆に富む古典です。
南の海原をゆく一隻の船。突如、猛烈な嵐がその船体を打ちのめします。船は岩に激突して砕け散り、命からがら乗り移った小舟も、荒れ狂う波にひとたまりもなく飲み込まれてしまいました。ただ一人、男は風と潮に流され、運命のなすがままに泳ぎ続けます。そして力尽きる寸前、その足はついに未知の岸辺の地面をとらえたのです。柔らかい草の上に身を投げ出すと、彼はそのまま深い、深い眠りに落ちていきました。
次に目を開けたとき、待ち受けていたのは、新たな絶望でした。身体が、動きません。腕も、足も、豊かな長髪さえも、地面に張り巡らされた無数の細い糸で、がんじがらめに縛りつけられていたのです。[6] 身動き一つとれず、ただ、じりじりと照りつける太陽を見上げるしかありません。
そのとき、何かが胸の上を、もぞもぞと進んでくるのを感じました。それは、身の丈わずか15センチほどの、小さな、小さな人間でした。背中には矢筒を、その手には小さな弓矢を携えています。[7] 一人、また一人と、その数はみるみるうちに増えていきました。
あまりの光景に男が驚きの声を張り上げると、小人たちは「ヘキナー・デグル!」[8]と甲高い叫び声をあげて逃げ惑います。しかし、その恐怖も束の間。彼らは驚くべき勇気で舞い戻ると、[10]男めがけて一斉に矢を放ってきました。まるで、無数の針が、チクリ、チクリと肌を刺すかのようでした。