
源氏物語 第二巻 ― 賢木から松風
朗読で味わう

紫式部(973頃 – 1014頃)
1008年頃
源氏物語「賢木」は、光源氏と六条御息所の複雑な愛憎を描き出します。平安貴族の優雅な生活と、登場人物たちの繊細な心の動きが、千年の時を超えて読み手の胸を打ちます。
最愛の妻を亡くし、翌年には父である帝までも。相次ぐ不幸が、光源氏の心に重くのしかかります。[14] これまでの人生は、まるで災いの連続。この先を思うことさえ、耐えられません。[33] 世の中は、ただつらく、やるせないことばかりだと感じていました。[33] 最大の庇護者を失った今、政敵である弘徽殿の女御の権勢はとどまるところを知りません。
一方、藤壺の宮もまた、深い苦悩の中にいました。我が子が、実は源氏との許されざる罪の子であるという秘密。[18] この偽りが自分を追い詰めていく恐ろしさに、身を震わせる日々だったのです。[19] そして、ついに決断の時が訪れます。藤壺の宮が、この世を捨て、仏門に入ると宣言したのです。[23] 儀式の日。美しさの絶頂にある方が、その長い髪を切り落とす。その光景は、列席者たちの間に悲しみの声を引き起こしました。[24] 亡き帝は、藤壺の宮に幼い東宮の後見を託していました。その遺志に背いてまでも、彼女は世を捨てなければならなかったのです。[27][29]
源氏もまた、いっそ自分も仏の道へと誘われる心がありました。[20] しかし、彼には守るべき存在がいます。藤壺の宮が残した、幼い東宮。その子の行く末を思うと、とても世を捨てることなどできません。[25] すべての罪が幸せへの道を閉ざすというのなら、それは運命のせいではなく、自らの心の弱さのせいなのだと、源氏は己を責めるのでした。[26] 深い絶望の中、それでも彼は、朝顔の姫君へと、再び心を寄せていくのです。[28]