
緋文字
朗読で味わう

ナサニエル・ホーソーン(1804 – 1864)
1850年
清教徒時代の新世界を舞台に、罪と赦し、人間の心の葛藤を描くナサニエル・ホーソーンの傑作です。主人公ヘスターの葛藤を通じて、偽善的な社会の真実を問いかけ、その普遍的なテーマは今もなお多くの読者を魅了し続けています。
17世紀のボストン。とんがり帽子の影が落ちる厳しい顔つきの、ピューリタンの群衆が、刑務所の前に集まっています。彼らが見つめるのは、重々しい鉄の鋲を打った扉です。[12] その冷たい扉のすぐ脇に、しかし、一本の野バラが根を下ろし、まさに今、繊細な宝石のような花を咲かせていました。[13] それは、人の悲しみの物語の中に咲く、救いの一輪となるのでしょうか。[14]
やがて、重い扉がきしむ音を立てて開くと、一人の女性が姿を現します。ヘスター・プリン。すらりと背が高く、誰もが息をのむほどに美しいその姿は、驚くほどに誇りに満ち、腕には生まれたばかりの赤子を抱いていました。
灰色の服の胸元で、燃えるように輝くのは、緋色の文字『A』。しかしそれは、ただの罪の烙印ではありません。金糸で見事に縁取られたその文字は、驚くほど緻密で、豊かな想像力で彩られた、一つの芸術作品だったのです。[18] そのあまりの美しさは、まるで呪文のように彼女を人々から切り離し、誰にも触れることのできない孤独な世界へと閉じ込めてしまいます。[19]
千もの冷酷な瞳が、容赦なく彼女の全身に、そしてその胸の一点に、突き刺さります。[21] 文字の鮮烈な赤。そして、扉のそばに咲く野バラの緑。ピューリタンたちの作る灰色の世界の中で、その二つの色だけが、激しい生命の炎を燃やしているのでした。