
高慢と偏見
朗読で味わう

ジェイン・オースティン(1775 – 1817)
1813年
高慢と偏見は、19世紀イギリスの階級社会と恋愛模様を巧みに描いた不朽の名作です。エリザベスとダーシーの機知に富んだやり取りは、人の真価を見抜くことの難しさと、真実の愛を見つける喜びを教えてくれます。今日まで多くの読者を魅了し続ける、心温まる物語です。
財産を持つ独身の殿方には、きっと奥方がお似合いだろう。それは、世の誰もが認める真理のようなものでした。[65]この真理は、ベネット夫人にとって、とりわけ大きな関心事でした。[80]近くのネザーフィールド・パークという屋敷に、ビングリーという名の裕福な独身紳士が越してきたと知ったからです。[66][68]まだ結婚していない娘が五人もいるベネット夫人は、さっそく、娘たちの誰かと結びつけようと計画を練り始めました。[70][80]
メリトンの町で開かれた舞踏会で、ベネット夫人の期待は大きくふくらみました。ビングリー氏は、長女の美しいジェインを一目見てすっかり気に入り、二度もダンスを申し込んだのです。[105][117][124]
しかし、ビングリー氏の友人であるダーシー氏の印象は、まったく違うものでした。[98][116]背が高く、顔立ちも整った立派な紳士で、年収が一万ポンドもあるという噂は、またたく間に会場に広まりました。[96]誰もが最初はダーシー氏に感心したのです。しかし、その態度はすぐに人々を不快にさせました。ダーシー氏が高慢で、周りの人々を見下していることがわかったからです。[97]
ダーシー氏は、自分の仲間であるご婦人方と一度踊っただけで、それ以外の人への紹介はすべて断ってしまいました。[100]ダーシーという人物の評価は、これで決まってしまいました。世界で一番、高慢で、感じの悪い男。それが、皆が彼に下した判断でした。[99]
そのころ、エリザベス・ベネットは、踊りの相手がいなくて腰を下ろしていました。ちょうどその時、ダーシー氏が近くに立ち、エリザベスは彼の会話を耳にすることになります。[101]友人のビングリー氏がダンスを勧めていましたが、ダーシー氏は断っていました。[100]
そして、ふとエリザベスの方に目を向けました。視線が合ったかと思うと、ダーシー氏はすぐに目をそらし、冷たくこう言ったのです。「まあ、我慢できないほどではないが、僕を誘惑するほどの美人じゃないね」。[101][125]そう言い残してダーシー氏が立ち去ったあと、エリザベスの心には、彼に対する温かい感情など、ひとかけらも残ってはいませんでした。[102]この一言が、ダーシー氏への印象を決定的に悪くしたのです。
舞踏会の後、姉のジェインがビングリー氏を心から褒め称える一方で、エリザベスは、誰に対しても良いところしか見ようとしない姉の性格を指摘しました。[108][109][110][111]二人の性格の違いが表れた瞬間でした。親友のシャーロット・ルーカスは、もっと現実的な見方を示します。[122]ビングリー氏の心を確実につなぎとめるためには、ジェインはもっと好意を分かりやすく示すべきだ、と言うのです。[137]シャーロットにとって、結婚の幸せは、深い理解から生まれるものではなく、偶然の産物でした。[140]
エリザベスはその考えをおかしく思いましたが、正しいとは思いませんでした。「シャーロット、あなたって面白いわね。でも、それは違うと思うわ。あなた自身だって、そんな風に行動したりしないでしょう?」。[138][139]
こうして、富と心をめぐる駆け引きの幕が、メリトンの社交界で静かに上がったのでした。そこでは、財産が求められ、人の心は容赦ない速さで値踏みされていくのです。