
フランクリン自伝
朗読で味わう

ベンジャミン・フランクリン(1706 – 1790)
1791年
ベンジャミン・フランクリン自伝は、建国の父が歩んだ波乱の人生と、自己完成を目指した十三の徳目を鮮やかに描きます。彼の知恵と実践的哲学は、現代を生きる私たちに多大な示唆を与え、自己成長への道を照らす不朽の作品です。
手に入るお金はすべて本につぎ込み[18]、借りた本を返す朝まで、部屋で夜を徹して読みふける[19]少年がいました。12歳で、印刷職人である兄の徒弟となりますが、彼を待っていたのは厳しい扱いや、時には拳が飛んでくるような日々でした。
創造への渇望を抑えきれず、少年はインクの匂いが染みついた仕事場のドアへと向かいます。夜、誰にも気づかれないよう筆跡を変え、匿名の記事を書き上げると、そっとドアの下から滑り込ませるのです。兄とその友人たちが、まさか弟の書いたものとは知らずにその文章を褒めそやすのを、彼は息をひそめて聞いていました[26]。
かつて詩作は父に「詩人は乞食になるのがおちだ」と一笑に付され[20]、やめてしまいましたが、散文は違いました。父の的確な批評を受け入れ[21]、一流の書き手の文章を徹底的に模倣しては、自分のものと見比べ、誤りを正す[22]、そんな地道な努力を重ねていたのです。
やがて、自分が筆者だと明かしたことで、兄との溝は決定的なものになります。ある激しい口論の末、少年はついに家を出ることを決意。しかし兄は、ボストン中の印刷所に手を回し、彼を働かせないようにします。追いつめられた17歳の少年は、ニューヨーク行きの船に身を隠し、故郷をあとにするのです。後に「人生最初の過ちの一つ」と振り返る[26]、自由を求めるための、あまりに大胆な旅立ちでした。
しかし彼は知っていました。パン一切れの質素な食事[23]がもたらす頭の冴えを。そして、自らの無知を認める謙虚な問いかけこそが、誰よりも雄弁な武器になることを[24]。人は教えられていないかのように教えられ、知らないことは、忘れていただけだと思い出させるべきなのですから[25]。