
レ・ミゼラブル
解説で学ぶ

ヴィクトル・ユーゴー(1802 – 1885)
1862年
ヴィクトル・ユーゴーが紡ぐ『レ・ミゼラブル』は、19世紀フランスを舞台に、人々の愛と償い、尊厳を求める壮大な物語です。ジャン・バルジャンをはじめとする登場人物たちの人生を通して、社会の不条理と人間の深い慈愛を描き出す、時代を超えた傑作です。
もし、正義を掲げる社会が、みずから犯罪者を生み出しているとしたら、どう思われますか。ヴィクトル・ユゴーの偉大な物語は、まさにこの挑発的な問いを私たちに突きつけます。社会こそが犯罪と苦しみを生み出す土壌を作り、その責任を負うべきなのだと[464]。物語の中心には、一人の男がいます。彼は飢えた家族のために、たった一個のパンを盗んだことで、その後の人生を完全に狂わせてしまいました。彼に下された、あまりにも不釣り合いな重い罰は、私たちに法の正当性そのものを鋭く問いかけます。そして、こう考えずにはいられなくなるのです。「罰を科した法の側の不正の方が、罪を犯した本人の過ちよりも、大きかったのではないか」と[469]。ユゴーが提示するのは、過酷すぎる罰は、もはや元の罪を消し去ってしまうという、驚くべき逆転の発想です。抑圧という法の過ちが、罪人の過ちに取って代わり、有罪の男を被害者に、そして法を加害者に変えてしまうのです[470]。脱獄を試みるたびに重くなる刑罰は、やがて「強者による弱者への陵辱」となり、社会が個人に対して毎日繰り返し犯し続ける罪、19年間も続いた罪へと姿を変えていきます[471]。