
Swann's Way
Listen as Narration

Marcel Proust(1871 – 1922)
1913年
Swann's Way, the seminal first volume of Marcel Proust's monumental "In Search of Lost Time," invites listeners into a richly textured world. It delves into the narrator's vivid childhood memories, particularly the iconic madeleine episode, and explores the profound nature of involuntary memory and human desire. This foundational work beautifully reveals how the past shapes our present, forever changing the landscape of modern literature and self-reflection.
重い眠りが意識をすっかり弛緩させてしまうと、私は自分がどこにいるのか、何者なのかもわからなくなるのです。[4] しかし、その闇の中から、まるで天から垂らされた一本の綱のように記憶が降りてくると、私はたちまちのうちに何世紀もの文明を駆け抜け、過去の断片を拾い集めて、自分自身を組み立て直すのでした。[5]
私たちの過去も、同じこと。取り戻そうと知性で努力しても、すべては徒労に終わります。[10] 過去は、どこか物の中に隠れているのです。それはまるで、魂が解放されるのを待っているかのよう。私たちがそれに巡り会い、呼びかければ、魂は死を乗り越え、ふたたび私たちの生に甦るのです。[9]
そんなある寒い冬の日、母が一杯の紅茶と、マドレーヌという小さなお菓子を勧めてくれました。スプーンに浸したひとかけらを口に運んだ、その瞬間。温かい液体がパンくずと共に喉に触れるやいなや、全身に震えが走り、私はその尋常ならざる変化に、はっと息をのみました。[11] えもいわれぬ喜びが、私を満たしました。この力強い喜びは、いったいどこから来たのでしょう?[12] 紅茶とケーキの味に関係している、でも、その風味をはるかに超えている。[12] 真実は飲み物の中ではなく、私自身の内にある。私は心を澄ませ、その感覚を再び見つけ出そうと、いや、創造しようとしました。[13]
すると突然、記憶が蘇りました。その味は、コンブレーという町で日曜の朝に、レオニー叔母さんが紅茶に浸して食べさせてくれた、あのマドレーヌのかけらの味だったのでした。[14][15]
人の死後、物が壊れ、すべてが失われても、味や匂いだけは、か細く、しかし確かに生き長らえるのです。[16] そして、その一杯の紅茶から、すべてが甦りました。まるで日本の紙細工が水の中で花開くように、庭の花々が、町が、家々が、しっかりとした姿で立ち現れたのです。[17]