
Around the World in Eighty Days
Listen as Narration

Jules Verne(1828 – 1905)
1873年
Jules Verne's iconic adventure, "Around the World in Eighty Days," captivates readers with its thrilling race against time. Follow the eccentric Phileas Fogg and his loyal valet Passepartout as they circumnavigate the globe, encountering exotic cultures and unexpected perils. This timeless tale celebrates human ingenuity, determination, and the spirit of exploration, solidifying its place as a cornerstone of adventure literature.
ロンドンのリフォーム・クラブに、フィリアス・フォッグという名の紳士がおりました。謎めいて口数は少なく[1]、その日常は、まるで精密な機械のように、一秒の狂いもなく刻まれています[4]。
その日、フォッグ氏のもとに新しい召使いがやってきます。彼の名はジャン・パスパルトゥー。様々な職を渡り歩いてきたことから、そんなあだ名がついた男です[2]。今度こそ穏やかな暮らしをと願う彼ですが、採用の決め手となったのは、主人の時計と自分の時計が、分単位までぴったり合っていたことでした[3]。
午後、クラブでカードゲームに興じていると、話題は最近起きた銀行強盗の事件へ。交通機関の発達で世界は小さくなった、と皆が口にします。そんな中、いつもは物静かなフォッグ氏が、ぽつりと呟きました。「世界はかつてほど大きくはない[5]。80日間あれば、世界一周は可能です」と。
あまりに突飛な言葉に、仲間たちは一笑に付します。「不可能だ」と。すると、フォッグ氏は、氷のような冷静さをわずかに崩し、厳かに宣言しました。「真の英国紳士は、賭けのような真剣な話で冗談は言いません[6]。私の全財産の半分、二万ポンドを賭けましょう。八十日間で世界を一周してみせます」と。
その真剣さに、誰もが息を呑みます。そしてフォッグ氏は、今夜すぐに出発すると告げ、12月21日土曜日、午後8時45分までに、このクラブへ戻ることを約束するのでした。